例えば風神雷神図屏風だと「作者は?3人って誰?」などでも(ぐるぐる悩んだことがありました)風神雷神図屏風のどこがすごいのか?といえば、ポイントはいくつもあります。(とりあえず、俵屋宗達のほうで進めてみます。)
わかりやすそうなポイントからチェック入れていきます。
【風神雷神図屏風(俵屋宗達筆)】
・動きのある絵(躍動感、大胆な構図)
・髪の毛の書き方が細密
・中央にドーンとした大きな空白
・風神雷神両者(両神)の描き方がおもしろい、ユーモラス(特に、顔の描き方)
・絵のバランスがとれている
・雲の雲っぽさ
・雷神の身体を赤色ではなく白色に色塗り
・雷神の左手
こういう感じで一覧リスト化してみると、わかりやすいかもしれないです。
風神雷神
まずは一気に、まとめて追加します。
雷神が向かって左側、風神が右です(左隻・右隻)。風神雷神図といえば、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の3人は有名です。3人の作者とは誰か?の件でよく名前があがってくるものの、逆に3人いて「?」というのもあるあるでしょうか。(なぞり→スケッチ、宗達は宗達で北野天神縁起絵巻からの話も)
金地も魅力的です。飛び雀や赤富士(赤い富士山)などの吉祥画や縁起の良い和柄が好きな人は特に、チェックしているかもしれないです。
絵の描き方関連で大きな重要ポイントとされるのが、たらし込み(塗って乾く前に別の色をたらしこんでにじます)です。技法話題、熱中しますが、雲の描き方は特に見れば見るほど好きになります。
柔らか、流麗、優美etc.表現は色々ですが、メインの風神雷神よりも雲の絵に自然と目がいくほどです(ほかについてはこのあとやります)。雲のお手本のような印象です。
どちらかというと右側の雲の描き方のほうが、好きです(風神のほう)のめりこみます。左からの打ち込み系もいいですが「どちらが雷神か、どっちが風神か?」のあるあるも、小道具(手に持っているものや周りにあるもの)を見ると、暗記して覚えなくても見たときにわかりやすいと思います。
構図的にも、個人的には今にも動き出すような感じの描き方がお気に入りです。トリックアート、錯視図、動く絵をほうふつとさせます(具体的なトリックアートの描き方といえば、こういった対比や角度、光と影のグラデーションの作り方や色彩構成とか色々ポイントですが)。風神と雷神が扇の両端に当てはまるような構図で、興味深いです。
具体的に例えば、色彩面としては、風神は緑色や青色で雷神は赤色という塗り方(仏教美術)を、雷神を白色で色塗りしている点は、おさえておきたい重要ポイントのひとつです。
ポイントをとらえていくと、表情のユーモラスさも注目されています。親しみやすい(打ち解けやすい)おもしろさがあります。
二曲一双とは?の意味解説も、右隻と左隻(で一双)があって、右隻に右隻第一扇と右隻第ニ扇、左隻に左隻第一扇と左隻第ニ扇があって、落款は右隻と左隻の両端に、二曲一隻の2セット合わせると二曲一双...とするとむずかしいので、個人的には簡単に、二つ折りの屏風が二枚ワンセットのようなイメージでとらえてます。
日常生活に便利だったものが、うれしいことに美術品に昇格した例のようなイメージです。
国宝絵画、画家のカテゴリで一番多い画家といえば、日本人水墨画家雪舟(代表作:天橋立図、慧可断臂図、秋冬山水図とか)なので、雪舟についてはこちらで触れてます。
中央に大きな余白をとっていることもポイントです。スペースを思いきりよく確保している点も、感動します。
重要文化財と国宝についてのあたりもそうですが、作者でとらえていくとわかりやすいかもしれないです。
(俵屋宗達については触れたので)尾形光琳は燕子花図(かきつばたず、代表作の1つ)でも有名です。子供の方でもアヤメやショウブの花の名前をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれないです。発色の良い岩絵の具「青と緑と金色(群青と緑青)の花の絵」としてシンプルに覚えてる人も多いかもしれないです。リズム感のあることもポイントです。モダン的な、江戸時代のデザイナーのイメージも強いです。梅の花の絵だと紅白梅図屏風もあります。ドキッとする水のデザインも人気です。裏・酒井抱一(さかいほういつ)も琳派です。夏秋草図屏風(なつあきくさ)もそうですが、縁起の良い絵や吉祥画が好きな人だと、富士山の絵の富士山図もチェックしてるかと思います。これを見ると、江戸時代のイラストレーター的な印象もあって、興奮します。
サクッと所蔵先はどこか?なども追加していくと、建仁寺(けんにんじ、京都で一番古い禅寺で人気)俵屋宗達は桃山のあたりから江戸時代の画家として有名です(代表作といえば風神雷神図屏風というイメージです)。もし注意点があるとすれば関連して、湛慶(たんけい)が作った風神・雷神像の彫刻もあるので、このあたり気をつけるポイントとしてあがりやすいかもしれないです。
3D画像やデジタルイラストアート、アレンジなどで楽しめるとか、最近は特に新しさがくわわって、さらにおもしろい感じになってるみたいなので、楽しみな作品でもあります。熱いです。
比較
西洋の絵と比較すると、それを陰影で表現するに対して日本画は輪郭線で表現..はあるあるなので、俵屋宗達をベースに3枚の違いも簡単にいくと、尾形光琳は雷神の太鼓を中におさめて雲を色濃く、酒井抱一は色鮮やかなどetc.それぞれあると思います。
細かく入れ込んでいくと、尾形光琳(トレースと考えられていているので)の場合は風神と雷神の体の輪郭をそのままにしつつ中におさめ(俵屋宗達はダイナミックに太鼓がはみ出すほど)屏風のサイズが大きめなこと、酒井抱一は光琳のほうをスケッチ(模写)していると考えられていることもあるせいか、両神の変化が大きい印象です。風神雷神図だと彫塗(ほりぬり、線を塗りつぶさないように残して周りを色塗り)もポイントです。
比較として、伝源頼朝像(でんみなもとよりともぞう)の例も入れておきます。こちらは、ある意味ものすごく有名な肖像画です。
簡単な予備知識として「源頼朝とはどんな人?」とすると、征夷大将軍になって鎌倉幕府を開いて武士による国をおさめる活動をした、そんなイメージで個人的に吸収してます。結婚して(政子)、東国武士(とうごくぶし)を仲間にとか、歴史好きの人もふくめて武将や武士好きのみなさんにもおなじみかもしれないですが、国宝の肖像画といえば?で投げ入れていくとしたら、この絵がなくてはならない、必須のイメージです。
源頼朝といえば、テレビや教科書・資料集、本、雑誌etc.、よく出るイメージ画像(写真)はほぼこの絵と思うので、とらえていきます。(色はともかく)大きさからもバイタリティにあふれた作品の印象です。
ポイントをまとめて入れると、
・だいたい絵の大きさが等身大サイズ
・落ち着きの三角形構図
・細かい描き込み(眉毛1本、毛流れなど)
・柔和、端正、整っている印象の顔の表情
・服(着物、装束等)は無地の黒色ではなく、よく見ると細かな模様入り(輪無唐草文デザイン、読み方はわなしからくさもん)
・平緒が金色の桐鳳凰が描かれてる(足元のあたり)
こういう感じでたくさんありますが、さすが国宝絵画という感じで、装束の紋様や、鳳凰の絵の描き方も個人的にはチェックポイントだったりします。アナログ手描きのすごさに引き寄せられます。
描き方について具体的にひもといていくと、
顔の全体のイメージは柔和で曲線的な印象、マンガやアニメだったりゲームのキャラクターにも多そうな描き方とリンクする感じで、服は全体的に直線的に描いている(比較して男性だと直線的、女性だと曲線的傾向など)、裏彩色の発色効果、眉毛の描き方が一本一本で細密的、暈(グラデーション)etc.興味深いポイントが目白押しです。
顔の長さに注目してる人もいるかもしれないですが、日本の肖像画のすごさをじっくり堪能できる絵というイメージでパワフルです。からめとっていくと例えばリアル系の顔の描き方に、ここで具体的に突っ込んでいくとしたら、まぶたのふくらみとほほのふくらみも、顔の立体感(凹凸、でこぼこ感)をつくってますが、一気に手繰り寄せていくと、伝源頼朝像だと顔の描き方も注目ポイントです。目の描き方は切れ長の目の形になっていて、目の色は黒や灰色で色塗りされて印象的です。風神雷神の目と比較すると、描き方による効果の違いがわかりやすいです。
風神雷神と体の描き方
風神雷神図屏風だと、雷神(左側の太鼓を背負っていて撥を持っているほう)と風神(右側の布、風袋を手に持っているほう)だと、体の筋肉の絵の描き方も注目ポイントです。線のおうとつ(でっぱりとへこみの繰り返し)も絶妙です。筋肉の描き方もリアルに突っ込んでいくと、
特に男性の場合、腕を曲げるときに筋肉が盛り上がるので、はっきりとスジを描くとそれっぽさが出てきたり、ひじまわりの筋肉のくぼみとへこみもおさえておきたいポイントです。ハートをつかみます。雷神(左側)の腕と足の描き方もかなり重要ポイントです。腕と足を曲げているポーズなので、例えば膝を曲げたときに出てくる部分もわかりやすいです。近づいて見たいイメージです。
例えば、絵の描き方もそうですが体の構造についても深く突っ込んでいくと、
人間の腕は、内側にひねると身体からひじが離れるようになっています。逆にいうなら、外側にひねると体にひじが近づいてくるので、実際に手を動かしてみるとわかりやすいと思います。
雷神の左手の指(右手のように逆)もチェックポイントです。
風神雷神を見ると、金剛力士像の阿形像と吽形像みたいなものが頭の中に浮かぶという人もいるかもしれないです。
どちらかといえば、口を開いてるタイプがお気に入りです。人体骨格系もおもしろいのでおすすめです。
人間型つながりで、補足してみました。風神雷神図屏風(俵屋宗達)、伝源頼朝像、金剛力士立像etc.人ほかにもまだたくさんあって一部ですが、この前触ったものの中から、人間の描き方つながりで気になるものを厳選してみました。
また人体の骨格や筋肉系、構造(つくり)系おもしろいので、まとめて一気にピックアップしてみます。
葛飾北斎の富嶽三十六景、富士山の絵も記憶に残りやすいすごさがありますが、人気の絵画アート、日本の絵としての有名度としても、風神雷神図も同じくらいダントツの域に入る人が多いイメージでどきどきします。
完璧にはできないタイプですが、日数おかずにがんばります。
今日も一日、お付き合いいただきありがとうございます!!
(本)参考資料
芸術新潮編集部(編). 国宝 改訂増補. 東京, 新潮社, 2005, 246p.
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